直前の記事では顎関節症の症状と治療法について解説いたしましたが、治療の基本にして核心部分は肉体的・精神的ストレス軽減にあるのです。顎関節症の基礎知識をご存じない方は、本記事を読む前にまず下記を参照だ!
センセ~、ストレス軽減と言うけれど、それができれば苦労はないよ!
と、患者さんによく言われます。誰だってストレスは大なり小なりあると確信します。叶姉妹のお姉さんだって、いい加減男の高田純次さんだってストレスはあるはず。もっとも、高田さんは最近、交通事故の示談絡みでストレスがあった模様ですが。
とにかくストレスと密接な関係にある顎関節症。悩み事が頭痛のタネ、と言われるのは食いしばりにより、頭の両側を包む筋肉(側頭筋)が疲労するからであるのは前回に述べた通り。完全にストレスを無くすのは不可能でしょうが、ゼロにならないまでも、ストレス軽減策をいくつか披露いたします。
うしろを振り返ってクヨクヨせず、先を心配してウツウツとせず
済んだことは仕方ありません。悩んで解決するわけでもなし。また先のことを心配したところでパフォーマンスが低下するだけ。考え事をしながらだと、ご飯だって美味しくないばかりか、何を食べたかすら覚えていない。目の前のことに集中しましょう。「今でしょ!」の気持ちで。
ストレスを軽減する魔法の言葉
「ま、いっか!」と声に出して言ってしまいましょう。嫌な事件、嫌な奴に遭遇しても気にしない。つまらない事、つまらない奴のために自分がすり減る必要はありません。
「なんとかなるさ!」……誰だって人生ドン詰まりに感じる場面に遭遇します。そんな時に言葉を口にしてください。なんとかなりそうな気がしないのですが、クヨクヨ考えても、あなたの生きる気力を削ぐだけです
誰かに共感してもらいましょう
人間は共感してもらわねば生きてはいけない生き物です。慰めてもらったり、アドバイスしてもらわなくてもいい、とにかく、自分のことを誰かにわかってもらってください。
時にはご自分のために ご褒美を
マラソンで言うところの「あの電柱までなら走れる」という感覚。これが終わったら旅行に行こう、欲しかった〇〇を買おう、など励みになりそうなイベントを設定するのも一手。なにもお金を使うことでなくても、部屋の模様替えをしよう、とか、草花の手入れをしよう、なんかでもいいと思います。
適度な運動も必要
運動後の爽快感は、ストレスを打ち消す脳内ホルモン(βエンドルフィン、ドーパミン)の分泌を促し、晴れやかな気分を回復する一助になります。また、全身の血流増加は、筋肉にも好影響を与えますので、首こり、緊張肩頭痛の減少が期待できます。
また後述しますが、ウォーキングにしろランニングにしろ、背筋を伸ばして颯爽と行なってください。
思いっ切り笑い、思いっ切り泣く
古来より「憎まれっ子 世に憚る」と申しますが、感情を剥き出しにして他人に迷惑をかけるとストレスが蓄積せず、結果的に自己チューの人は長生きする傾向にあるのかもしれません。実際のところ、がん、脳卒中、心臓病の原因としてストレスが中心にあることがわかってまいりました。落語家の三遊亭園楽さんは、ある医療系専門学校で客員教授を拝命していますが、これもお笑いがストレス軽減、ひいては病気の回復に効果があるからとされています。笑うことはもちろん、実は涙を流して泣くこともストレス軽減になります。涙にはアドレナリンなどのストレス物質が含まれていて、肉体的にもメリットはあるのです。
その他
現代医学を学んだ身としましてはマユツバに思っていたのですが、アロマテラピーやヒーリング音楽もストレス軽減に少なからぬ効果があるようです。前者ならラベンダーがお勧めです。